パートやアルバイトの求人票を、自分で書いている小さな会社の人に向けた話
小さな会社では、求人票も手の空いている人が書くことが多いと思う。前回の求人票をコピーして少し直す、ほかの会社の求人を参考にする。そうしているうちに、「30代まで」「女性歓迎」のような書き方が、何の疑問もなく残り続けていることがある。
そこで、求人票の文章をClaudeに「いい感じに整えて」と頼んだら、こうした表現に気づいてくれるのかを試してみた。最初に断っておくと、これは実際に出した求人ではない。試すために、ありがちな書き方をわざと入れて作った架空の求人だ。
実験:ありがちな表現を入れた架空の求人を渡す
設定は、事務のパートを募集する小さな会社にした。時給1,100円、9時〜15時、週3日から。そこに、よく見かける書き方として「30代までの女性歓迎(職場の雰囲気に合う方)」「主婦の方歓迎」を入れた。Claudeに送った文面は次のとおり。
パートさんの求人を出したいので、求人票の文章をいい感じに整えてもらえますか?ハローワークとIndeedに載せる予定です。
・仕事内容:事務(電話対応、伝票入力、来客対応)
・時給:1,100円
・勤務時間:9時〜15時(週3日〜OK)
・応募条件:30代までの女性歓迎(職場の雰囲気に合う方)
・主婦の方歓迎、未経験OK
・扶養内OK読みやすく、応募が来やすい感じにしてほしいです。
頼んだのは「整えて」だけで、「問題がないか見て」とは書いていない。それでも、返ってきた最初の一言はこうだった。

※画面は、実際のやり取りの文面をそのまま、見やすく再現したもの。
「30代までの女性歓迎」は、このままでは載せられない。性別を限定する募集は男女雇用機会均等法で、年齢を限定する募集は労働施策総合推進法で原則禁止されている、という説明だった。あわせて、「職場の雰囲気に合う方」は基準があいまいなこと、「主婦の方歓迎」は「主婦(夫)の方歓迎」と書けば問題ないことにも触れていた。
正直、言い回しをきれいにしてくれるだけだろうと思っていた。頼んでいない「載せる前に直すべき点」が、整える作業より先に出てきたのは意外だった。
整えた求人票は、こうなった
指摘のあとには、直したうえでの求人票が続いた。見出しに時給と勤務時間を入れ、仕事内容を電話対応・伝票入力・来客対応に分けて説明し、応募資格は「未経験の方、ブランクがある方も歓迎」「主婦(夫)の方、子育て中の方も歓迎」に置き換わっていた。年齢や性別ではなく、働き方の条件(時間帯・週3日〜・扶養内)で、来てほしい人に伝わる書き方になっている。

最後には「さらに応募を増やすために追記をおすすめする項目」として、勤務地・最寄り駅、休憩時間、残業の有無、職場の様子、急なお休みへの対応が挙がっていた。職場の様子については「スタッフ〇名、30〜50代が活躍中」のように事実を書くのはよいが、年齢・性別を条件にする書き方はNG、と念を押していた。
自分で確かめたこと
- 「1点だけ」と言いながら、指摘は1つではなかった。最初に「1点だけ修正が必要です」と書いているが、実際に触れていたのは、性別の限定、年齢の限定、「職場の雰囲気に合う方」のあいまいさ、「主婦の方歓迎」の書き方、の4つだった。必ず直すべきものを「1点」と数えたのかもしれないが、件数の言い方は文字どおりに受け取らない方がよさそうだ。
- 法律の名前と考え方:募集・採用で性別を理由にした差別を禁じるのは男女雇用機会均等法、年齢制限を原則禁止しているのは労働施策総合推進法で、Claudeの説明と合っていた。ただし、年齢制限には法律で決められた例外もある。例外に当たるかどうかの判断までは、今回の応答では扱っていない。
- まだ空欄の項目がある:交通費や制服の欄は「※規定に合わせて記入」「※どちらか記入」となっていた。渡していない情報を勝手に埋めずに空けてあったのは安心できる点だが、そのまま載せると空欄が残る。
- 掲載先のルール:「ハローワークでは受理されず、Indeedでも掲載停止になる可能性があります」という部分は、今回は掲載先に問い合わせて確かめてはいない。実際に出す前には、掲載先の案内を自分で確認してほしい。
なお、この試しは1回だけだ。聞き方や、渡す求人の内容によって、同じように最初に指摘が出てくるとは限らない。
頼み方を3ステップにすると
- 条件を、そのまま箇条書きで渡す。仕事内容、時給、時間、応募条件を、今の書き方のまま貼る。直したい部分を自分で先に消さない方が、気づいてもらえる余地が残る。
- 載せる先を書く。今回は「ハローワークとIndeed」と書いたことで、掲載先ごとに分けて仕上げる提案まで返ってきた。
- 「ルール上まずい表現はない?」も一言添える。今回は添えなくても指摘が出たが、毎回そうなるとは限らない。確認してほしいことは、言葉にして頼んだ方が確実だと思う。
任せきりにしないための確認ポイント
- 最終確認は、人と公的な窓口で。Claudeの指摘は「気づくきっかけ」として役に立つが、法律の判断を任せるものではない。迷う表現があれば、ハローワークの窓口や社会保険労務士に確認したい。
- 会社名や住所は、載せる直前に自分で入れる。今回は架空の内容だけで試した。実際に使うなら、会社名や連絡先を伏せた状態で文面だけ整えてもらう使い方もある。外部のAIサービスに社内の情報を渡してよいかは、先に自分の会社のルールを確認してほしい。
- 補われた文章が事実かを見る。「わからないことは先輩スタッフが一つずつ教えます」のような一文も入っていた。実際にそういう体制があるかは、会社によって違う。事実でなければ削る。
同じように、渡した文面の中から「直した方がいいところ」を見つけてもらう使い方は、見積書や請求書の合計ミスが不安な、小さな会社の人へ:わざと間違えた合計をClaudeに渡して、検算を頼んでみたや、取引先への値上げのお願いメールが書けない、小さな会社の人へ:気まずい文面の下書きをClaudeに頼んでみたでも試している。求人の告知を複数のSNSに出す手間については、求人告知をX・LinkedIn・Instagramに別々に投稿していませんか?一括投稿で採用の初動を速くにまとめた。
まとめ
ありがちな表現を入れた架空の求人を「整えて」とだけ頼んだところ、Claudeは言い回しを直す前に、年齢・性別を条件にした書き方が原則NGだと指摘し、働き方の条件で伝える求人票に作り直してくれた。一方で、「1点だけ」と言いながら指摘は4つあったり、掲載先の扱いなど自分で確かめていない部分もある。次に求人票を出すときは、前回のものをコピーする前に一度Claudeに渡し、出てきた指摘をハローワークの案内と見比べてから載せる、という順番を試してみてほしい。

