わざと間違えた見積もりをClaudeに渡したら、5,357円のズレを見抜いた

Claudeに、わざと間違えた合計(44,275円)を添えて見積もりの検算を頼んだ画面(実験用の架空の依頼) Uncategorized

見積書や請求書の合計ミスが不安な、小さな会社の人に向けた話


見積書や請求書は、出す前に合計をもう一度確かめる。分かってはいるのに、これが意外と難しい。単価と数量を掛けて、送料を足して、消費税をかける。計算そのものは簡単でも、自分で作った書類は、自分の目だと間違いに気づきにくい。専任の経理担当がいない小さな会社だと、見てくれる別の人がいないことも多いと思う。

そこで、この「もう一人の目」をClaudeに頼めないか試してみた。ただし最初に断っておくと、これは実際に起きた計算ミスの話ではない。検算してくれるかどうかを確かめるために、わざと間違えた合計を自分で用意して渡す、という実験だ。

実験:わざと間違えた合計を渡して、検算を頼む

設定は、架空の印刷依頼にした。名刺300枚とチラシ1000枚の見積もりで、単価や送料は次のように決めた。取引先名などは出していない。

  • 名刺:1箱(100枚)3,500円
  • チラシ:A4カラー片面500枚で12,000円
  • 送料:別途880円
  • 消費税:10%

ここで、正しい合計とは違う「44,275円」という数字を、わざと自分の計算結果として添えて、合っているかどうかを聞いた。依頼文の中にある「自分でも電卓で計算してみたんだけど」という一文は、この実験のための設定の文面だ。実際にこの数字を電卓で出したわけではない。Claudeに送った文面は次のとおり。

取引先から名刺300枚とチラシ1000枚の印刷依頼が来た。名刺は1箱(100枚)3,500円、チラシはA4カラー片面500枚で12,000円。送料は別途880円、消費税10%も入れて見積もりを作ってほしい。自分でも電卓で計算してみたんだけど、合計44,275円になったので、合ってるか見てもらえる?

返ってきた答えは、まず内訳を表にして再計算したものだった。

Claudeに、わざと間違えた合計(44,275円)を添えて見積もりの検算を頼んだ画面。内訳の再計算表と、正しい合計38,918円とのズレ5,357円の指摘が返ってきている(実験用の架空の依頼)

※画面は、実際のやり取りの文面をそのまま、見やすく再現したもの。

表の下には、こう書かれていた。

つまり正しい合計は「38,918円」になります。ご自身で出された44,275円とは5,357円の差があります。

考えられるズレの原因としては、
1. チラシの単位を「500枚で12,000円」ではなく「1,000枚で12,000円」と勘違いして計算し直した、あるいは逆に数量や箱数を1つ多く数えた
2. 消費税を二重にかけてしまった、または税抜・税込の計算順序を間違えた
あたりが怪しいところです(上記の内訳のどこで数字が変わったか確認してみてください)。

こちらが渡したのは「合っているか見てほしい」という頼みだけだ。それでも、合計が違うと言い切ったうえで、内訳を出し直し、ズレの大きさ(5,357円)まで示してくれた。さらに、ズレの原因として考えられるものを2つ挙げ、「内訳のどこで数字が変わったか確認してみてください」と、確認の仕方まで添えてくれた。

正直、数千円のズレなら「だいたい合っています」と流されるのではないかと思っていたので、この返事は意外だった。ただし原因の候補は、あくまで推測だ。渡した44,275円は検算を試すために用意した数字なので、この候補が当たっているかどうかを確かめる実験にはしていない。

手元で足し直して確認した結果

Claudeの答えが合っているかは、自分でも計算して確かめた。

  • 名刺:3,500円×3箱=10,500円
  • チラシ:12,000円×2セット(500枚×2で1,000枚)=24,000円
  • 送料:880円
  • 小計:10,500円+24,000円+880円=35,380円
  • 消費税(10%):35,380円×0.1=3,538円
  • 合計:35,380円+3,538円=38,918円

Claudeの内訳・小計・消費税・合計は、すべて手元の計算と一致した。わざと渡した44,275円との差も、44,275円−38,918円=5,357円で、指摘のとおりだった。

ここで大事なのは、Claudeの答えを信じたから安心できたのではなく、内訳が表で出ていたから、自分で足し直して確かめられたという点だと思う。合計だけを返されていたら、どちらが正しいのか、手元で追うのが難しかったはずだ。

なお、この試しは1回だけだ。聞き方や金額、使った時期によって、同じ結果になるとは限らない。「いつも見抜いてくれる」と言えるだけの回数は試していない。

頼み方を3ステップにすると

  1. 計算の材料を、文字で全部渡す。単価、数量の単位(今回なら「500枚で12,000円」のような単位)、送料、税率を書く。単位が曖昧だと、Claudeも自分も読み違えやすい。
  2. 自分の合計を添えて、「内訳を出して再計算して、合っているか見て」と頼む。今回は自分の合計を添えて頼んだ。合計を添えない聞き方は、今回は試していない。
  3. 返ってきた内訳を、自分で足し直す。項目ごとの金額、小計、消費税、合計の順に確認する。ここは最後に人がやる。

任せきりにしないための確認ポイント

  • AIも計算を間違えることがある。今回の計算は合っていたが、いつも合っている保証はない。内訳を出させたうえで、最後は電卓か表計算ソフトで確認するのが安全だ。
  • 書類の前提は、人が決める。消費税の端数の扱いや、税込・税抜の表記、請求書に必要な項目などは、会社や取引先のルールによって変わる。Claudeの再計算が合っていても、それが自社の書き方になっているかは別の話だ。
  • 取引先名や個人情報は渡さない。今回の試しは、架空の商品と金額だけで行った。実際の見積書や請求書には、会社名、担当者名、住所などが含まれる。外部のAIサービスに渡してよいかどうかは、先に自分の会社のルールを確認してほしい。数字だけを抜き出して貼る、という使い方もできる。

同じように、金額をテキストで貼って集計と確認ポイントを出してもらう使い方は、月末の経費精算が重い、小さな会社の人へ:レシートの金額をClaudeに渡して、合計と「確認ポイント」まで出してもらう方法でも試している。人手が足りない部分をAIで補う考え方については、人を増やさず、AIを増やす。海外で広がる「AI社員」という考え方にまとめた。

まとめ

わざと間違えた合計44,275円を渡したところ、Claudeは内訳を再計算し、正しい合計38,918円とのズレ5,357円を指摘して、原因の候補まで挙げてくれた。見積書や請求書を出す前の「もう一人の目」として、試してみる価値はあると感じた。ただし試したのは1回だけで、結果は毎回同じとは限らない。内訳を出させて、最後は自分で足し直す。次は、過去に出した自社の見積書から取引先名を外して、数字だけを貼ってみるところから始めたい。

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