気まずい値上げメール、Claudeに頼んだら「角が立たない一文」まで提案された

Claudeに値上げのお願いメールの下書きを頼んだ画面(実験用の架空の依頼) Uncategorized

取引先に値上げをお願いするメールが書けず、後回しにしてしまう小さな会社の人に向けた話


原材料費や物流費が上がると、取引先に値上げをお願いしなければならない場面が出てくる。頭では必要だと分かっていても、長く付き合ってきた相手ほど、メールの文面が書けない。丁寧にしすぎると逃げ腰に見えるし、あっさり書くと冷たく見える。気づけば下書きのまま数日たっている、ということもあると思う。

そこで、この「気まずい文面の下書き」をClaudeに頼めるか試してみた。ただし最初に断っておくと、これは実際に取引先へ送ったメールの話ではない。試すために、金額も相手も自分で設定した架空の依頼だ。

実験:架空の値上げ交渉メールを頼む

設定は、長年取引のある会社に、1個850円の商品を935円(10%アップ)にしたい、というものにした。理由は原材料費の上昇、適用は11月分の注文から、相手は月に300個ほど継続して発注してくれる「田中さん」とした。田中さんは架空の人物だ。Claudeに送った文面は次のとおり。

長年取引してる会社に、来月から値上げをお願いするメールを送りたいんだけど、気まずくて文面に悩んでる。下書き考えてもらえる?

今の価格:1個850円
上げたい価格:935円(10%アップ)
理由:原材料費が上がったため
適用したい時期:11月分の注文から

相手は月に300個くらい継続で発注してくれてる取引先の田中さんです。

「丁寧な文面を作ってくれるのだろう」と思って送ったのだが、返ってきたのは、件名つきのメール本文の下書きと、その下に「補足」が付いたものだった。

Claudeに、架空の値上げ交渉メールの下書きを頼んだ画面。件名つきの本文と、関係性に合わせて調整するための補足が返ってきている(実験用の架空の依頼)

※画面は、実際のやり取りの文面をそのまま、見やすく再現したもの。

本文は、件名が「【ご相談】11月分お取引価格の変更について」で、現行価格850円・改定後価格935円・適用時期を箇条書きにして、「ご相談」という立て付けで書かれていた。そして本文の下の「補足」には、こう書かれていた。

・「心苦しい」を2回使っているので、関係が近い相手なら1回減らしてもう少しさらっとした文面にしてもいいかも
・月300個という発注量に対する感謝を一文加えると、より気まずさが和らぐかも
・値上げの理由を「原材料費の上昇」だけでなく、もう少し具体的にできる場合は書き加えると説得力が増すかも

こちらは下書きを頼んだだけだった。それでも、自分が書いた文面の弱いところを先に指摘し、「相手との関係性次第で調整してください」と選択肢まで示してくれた。正直、きれいな敬語の文面を出してくれるだけだろうと思っていたので、この補足は意外だった。

送る前に、自分で確かめたこと

  • 金額:850円×1.1=935円で、10%アップになっている。月300個なら、850円×300個=255,000円が935円×300個=280,500円になり、月あたり25,500円の差になる。この差額は、相手に伝える前に自分でも把握しておきたい数字だ。
  • 「心苦しい」の回数:本文を読み返すと、「誠に心苦しいのですが」「大変心苦しく」の2回で、Claudeの指摘と合っていた。
  • 書かれていない事実:下書きの中に「できる限り価格を維持する努力をしてまいりましたが」という一文がある。これは、こちらが渡していない情報をClaudeが補った文面だ。実際にそうした努力をしていなければ、事実と違うことを書いて送ってしまうことになる。

3つ目は、使うときに一番気をつけたい点だと思う。丁寧な文面ほど、もっともらしい一文が自然に混ざる。送る前に、書かれていることが全部事実かどうかを、自分の目で確かめる必要がある。

なお、この試しは1回だけだ。聞き方や金額、使った時期によって、同じような補足が付くとは限らない。

頼み方を3ステップにすると

  1. 材料を、数字で渡す。現在の価格、上げたい価格、理由、適用時期、相手との取引量を書く。今回はこれらを渡したことで、下書きに具体的な数字が入った。
  2. 「気まずい」「悩んでいる」など、困っていることもそのまま書く。今回は「気まずくて文面に悩んでる」と書いたことが、補足の内容に関わっているのかもしれない。ただし、書かない場合との比較は試していない。
  3. 返ってきた文面を、事実と照らして直す。書かれた事実がすべて本当か、数字は合っているか、相手との関係に合う温度か、の順に確認する。

任せきりにしないための確認ポイント

  • 渡していない事実が混ざっていないか。今回のように、「価格を維持する努力」のような一文が補われることがある。身に覚えのない一文は削るか、事実に直す。
  • 値上げの判断は、人が決める。金額、時期、相手に伝える順番は、契約や取引先との関係で変わる。Claudeの下書きは、決めた内容を文章にする手伝いとして使うのがよさそうだ。
  • 取引先名や個人名は渡さない。今回は架空の名前だけで試した。実際に使うなら、会社名や担当者名は伏せて下書きだけ作り、送る直前に自分で入れる使い方もある。外部のAIサービスに渡してよいかは、先に自分の会社のルールを確認してほしい。

同じように、文面や数字を渡して整理してもらう使い方は、月末の経費精算が重い、小さな会社の人へ:レシートの金額をClaudeに渡して、合計と「確認ポイント」まで出してもらう方法や、見積書や請求書の合計ミスが不安な、小さな会社の人へ:わざと間違えた合計をClaudeに渡して、検算を頼んでみたでも試している。人手が足りない部分をAIで補う考え方については、人を増やさず、AIを増やす。海外で広がる「AI社員」という考え方にまとめた。

まとめ

架空の値上げ交渉を頼んだところ、Claudeは件名つきの下書きに加えて、「感謝の一文を足す」「理由を具体的にする」といった調整案まで付けてくれた。一方で、こちらが渡していない「価格維持の努力」という事実を、文面に補っていた。下書きの土台として使い、事実と数字は自分で確かめてから送る。それが、今のところ一番安心できる使い方だと感じた。次は、取引先との関係が近い場合と遠い場合で、頼み方を変えたときの文面の違いを試してみたい。

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