Claudeに「個人情報を伏せて」と頼んだら、1回目は「持病の通院」が残った|生成AIに貼る前の確認5つ

Claudeに個人情報を伏せてと頼んだ1回目の返答(架空の商談メモ) Uncategorized

結論から書くと、架空の商談メモをClaudeに渡して「個人情報を伏せた版を作って」と頼んだら、同じ頼み方でも結果が2回で違った。1回目は名前や電話番号など11項目を伏せたが、「持病の通院」は伏せた版の本文に残ったままだった(注意書きの欄では、健康情報なので要約に不要なら書き換えるのが安全、と指摘していた)。2回目は16項目を伏せ、通院も「先方の都合」に言い換えた。

そこで依頼文に「健康・家族・口座は本文から消す」「最後に1行ずつ読み直す」の2つを足したら、2回とも健康と子どもの情報は本文から消えた。AIに伏せてもらうのは便利だが、頼み方で結果が変わるので、最後は自分の目で3つ(健康・家族・お金)を確かめる。この記事では、その手順と、実際の返答をそのまま載せる。

試した条件:2026年10月24日、Claude(CLAUDE.mdや設定を読み込まない素の状態で、毎回新しい会話として実行)。最初の依頼文で2回、改良した依頼文で2回。会社・人物・番号はすべて架空で、実在のデータは使っていない。claude.aiのチャット画面とまったく同じ答えになるとは限らない。

なぜ今この話か

2026年10月23日、パナソニックHDの子会社で、社内で使用を禁止していた外部の生成AIサービスに、従業員らの個人情報が約33万4,000人分アップロードされていたと報じられた(ITmedia NEWS)。報道では、アップロード先では学習への利用が無効になっていたとされている。それでも問題になったのは、「学習に使われないこと」と「会社が認めていない場所に出さないこと」は別の話だからだ。

個人情報保護委員会も、2023年6月2日の生成AIサービスの利用に関する注意喚起で、事業者が個人情報を含む指示文を入力するときは、利用目的の範囲内かを十分に確認するよう求めている。

とはいえ、商談メモや問い合わせの要約をAIに頼みたい場面は毎日ある。会社で使ってよいAIを確認したうえで、「貼る前に伏せる」を習慣にするのが現実的だ。その「伏せる」作業自体をAIに頼んだらどうなるか、を試した。

早見表:AIに貼る前に伏せるもの

種類 例 伏せ方 今回のAIの扱い
氏名・会社名 担当者名、取引先の社名 「A社」「担当者B」に置き換え 4回とも伏せた
連絡先・住所 携帯番号、メール、番地 削除 4回とも伏せた
IDや番号 社員番号、顧客ID 削除 4回とも伏せた
お金の情報 銀行名・支店名 要約に不要なら削除 4回とも伏せた
健康 持病、通院、休職の理由 本文から消す・「都合により」に言い換え 最初の依頼文の1回目だけ本文に残った
家族 子どもの年齢・学校、家族の役割 「担当者がいる」程度に 最初の依頼文の1回目だけ本文に残った
社内の非公開名 プロジェクト名、新商品の仮称 「社内プロジェクト」に 4回とも伏せた

名前や番号のような「見てすぐ分かる」ものは毎回伏せてくれた。揺れたのは、健康と家族のような「文章の中に混ざっている」情報だった。

実験①:最初の依頼文で2回

渡したのは、パン屋の社長との架空の商談メモ。名前・携帯・メール・住所・社員番号・顧客IDに加えて、「社長の娘さん(高校生)がSNS担当」「来週水曜に持病の通院がある」「支払いはいつも○○銀行○○支店から」「社内のプロジェクト名」を混ぜた。依頼文はこれだけだ。

次の商談メモを、社外の生成AIに貼って要約してもらいたいです。
その前に、個人情報や、人や会社が特定できる情報を伏せた版を作ってください。
伏せた版のメモと、何を伏せたかの一覧を出してください。

1回目は、伏せた項目の表が11行。名前や番号、銀行、出店地域、社内プロジェクト名は伏せた。ところが本文には「娘さん(高校生)がSNS担当」と「持病の通院」がそのまま残った。表の下の「注意が必要と考えて残した/迷った点」では、通院について「健康情報(要配慮個人情報にあたり得る情報)です」と自分で指摘していた。

Claudeに個人情報を伏せてと頼んだ1回目の返答(架空の商談メモ)

つまり、「伏せた版」だけをコピーして貼ると、健康の情報も一緒に出ていく。注意書きまで読めば気づけるが、急いでいるときほど読み飛ばしやすい所だ。

2回目は同じ依頼文のまま新しい会話で頼んだ。今度は表が16行で、通院は「先方の都合により」、娘さんは「ご家族」、フォロワー数は「数千人規模」に言い換えた。

Claudeに個人情報を伏せてと頼んだ2回目の返答(架空の商談メモ)

同じ文面で頼んでも、どこまで伏せるかの線引きが毎回同じとは限らない。これが一番の発見だった。

実験②:依頼文に2つ足して2回

そこで、迷いやすい所を先に決めてしまう依頼文に変えた。

次の商談メモを、社外の生成AIに貼って要約してもらいたいです。
その前に、伏せた版を作ってください。条件:
1. 氏名・連絡先・住所・ID・口座・社内の非公開名は伏せる
2. 健康・病気、家族(特に子ども)、お金の口座の情報は、要約に不要なら本文から消すか言い換える。「残したほうがよいか迷うもの」も本文からは消し、迷った点は最後に書く
3. 最後に、伏せた版の本文だけを1行ずつ読み直し、人や会社が特定できる情報が残っていないか確認した結果を書く

結果は2回とも、通院は「先方の都合で」、娘さんは「SNS運用担当者がいる」に言い換えられ、本文に健康と子どもの情報は残らなかった。最後には本文を1行ずつ確認した表が付き、健康や子どもの情報は残っていない、という趣旨の結論が書かれていた。

最初の依頼文 改良した依頼文
健康(持病の通院)が本文に残った 2回中1回 2回中0回
子ども(娘さん・高校生)が本文に残った 2回中1回 2回中0回
名前・連絡先・住所・ID・銀行 2回とも伏せた 2回とも伏せた

ただし、試したのは各2回だけだ。改良した依頼文でも、いつも完璧とは言えない。だから最後の確認は人がやる。

貼る前の確認5つ

  1. そのAIは会社で使ってよいものかを先に確認する。そのうえで、入力が学習に使われない設定かも確認する(個人情報保護委員会の注意喚起でも、機械学習に利用しないこと等を確認するよう求めている)。
  2. 依頼文に「健康・家族・口座は本文から消す」と書く。迷うものも本文から消させ、迷った点は最後にまとめさせる。
  3. 「伏せた版の本文を1行ずつ読み直して」と頼む。今回は、見直させた2回とも本文に健康・子どもの情報は残らなかった。
  4. 最後に自分の目で3つだけ見る:健康・家族・お金。名前や番号は毎回伏せてくれたが、揺れたのはこの3つだった。
  5. 注意書きの欄まで読む。1回目のように、本文には残っているのに注意書きでは指摘していることがある。

もう貼ってしまったときは

個人情報を含むメモを、会社で認められていないAIに貼ってしまったと気づいたら、自分で消して終わりにせず、会社の決まりに沿って早めに上司や情報システムの担当に相談するのが基本だ。何をいつ貼ったかを書き出しておくと、話が早い。対応の手順は会社ごとに違うので、社内の規程を確認してほしい。

よくある質問

Q. 学習に使われない設定にしていれば、個人情報を貼ってもいいですか?

A. それだけでは足りない。今回の報道のように、会社が認めていないサービスに出すこと自体が問題になる。会社のルールで使ってよいAIか、扱ってよい情報かを先に確認してほしい。

Q. 伏せる作業もAIに頼んでいいですか?

A. 伏せる作業を頼むAIにも、元のメモを渡すことになる。会社で認められたAIで行うのが前提だ。そのうえで、今回のように頼み方を工夫し、最後は自分で確かめる。

Q. ChatGPTやGeminiでも同じですか?

A. 今回試したのはClaudeだけなので、他のAIの結果は言えない。ただ、依頼文の条件(健康・家族・口座を本文から消す、1行ずつ読み直す)はどのAIでもそのまま使える。各AIの料金や無料で使える範囲は、ChatGPT・Claude・Geminiの使い分けをまとめた記事で整理している。

まとめ

架空の商談メモでClaudeに「個人情報を伏せて」と頼むと、名前・連絡先・住所・ID・銀行は4回とも伏せた。一方で、最初の頼み方では2回中1回、健康(持病の通院)と子どもの情報が伏せた版の本文に残った。依頼文に「健康・家族・口座は本文から消す」「最後に1行ずつ読み直す」を足すと、2回とも本文から消えた。

AIに伏せてもらうのは時短になる。ただし、使ってよいAIかの確認が先で、最後は自分で健康・家族・お金の3つを見る。この2つをセットにしておけば、要約を頼む前の不安はかなり減らせる。

AIの出力をそのまま使う前に確かめる話は、怪しい振込先変更メールをClaudeに渡した実験や、わざと間違えた見積もりを検算させた実験でも試している。

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