一人で何役もこなす人へ。実際に試した海外AIツール5選、使えるもの・使えないもの
人数の少ない会社で働いていると、役割がきれいに分かれていないことが多い。営業もやるし、問い合わせ対応もやるし、資料も自分で作る。専任の担当者を置ける余裕がないぶん、「気づいたら全部自分がやっている」状態になりがちだ。
今回は、そういう働き方をしている人に刺さりそうな海外のAIツールを5つまとめて紹介したい。5つのうち2つ(Weav・Julius)は実際にサインアップして触ってみた。残り3つ(Heyy・Comp AI・Appy.AI)は事情があって実際の検証はできず、公式サイトの情報をもとに伝聞形で書いている。どちらの立場で書いているかは、見出しのすぐ下に書いておく。
1. Heyy — SNSでの接客・営業をまるごと自動化
※今回はサインアップ画面が繰り返しエラーになり、実際に試せなかった。公式サイトの情報をもとに紹介する。
Heyyは、WhatsApp・Instagram・Messengerといったメッセージアプリ上でのやり取りを、AIが自動で引き受けてくれるサービスだ。公式サイトによると、問い合わせへの自動応答、見込み客の情報収集とチーム振り分け、注文状況の確認まで、チャネルをまたいで一本化できるという。飲食・不動産・ECなど、SNS経由の問い合わせが多い業種を想定しているとのこと。
料金はHobby($49/月)・Pro($149/月)・Ultra($499/月)の3段階で、14日間の無料トライアルがありクレジットカード登録は不要と明記されている。
2. Weav — 自社の資料を読み込ませるAIサポート担当
※実際にサインアップして試した。
Weavは、自社のヘルプドキュメントや製品情報を学習させて、問い合わせ対応を任せられるAIエージェントを作れるツールだ。メールアドレスを登録するとすぐにコード認証があり、その後「サイトのURLを入力するだけで自動学習する」という導線に沿って、このブログのURLを渡してみた。
数十秒ほどで「エージェントの準備ができました」という画面になり、実際にチャット画面も日本語で挨拶してくれた。ただし、ブログで紹介したツールについて具体的に質問してみたところ、「その情報は確認できません。URLかタイトルを教えてください」という返答が返ってきて、内容には一切答えられなかった。学習の管理画面(Training)を確認すると、そこには「No training data yet(学習データはまだありません)」と表示されていて、「自動学習した」という案内とは裏腹に、実際には何も読み込まれていなかった。無料プランの範囲で試した限りでは、URLを渡すだけの自動学習はうまく機能しなかった、というのが正直な結果だ。
料金はLite(無料)・Plus($29/月)・Pro($119/月)・Max($359/月)の4段階。無料プランでもクレジットカード登録なしで始められる。
3. Julius — データ分析から資料作成までを1つのAIワークスペースで
※実際にサインアップして試した。
Juliusは、データの分析・資料作成・簡易サイト制作・画像や動画の生成までを1つの画面でこなせるAIワークスペースだ。こちらもメール認証で無料アカウントを作り、「中小企業の営業担当者向けに、AIツール導入のメリットを3枚のスライドで紹介して」とだけ指示してみた。
1分もかからずに、タイトル・見出し・図解アイコンまで入った3枚構成のスライドが出来上がった。無料プラン(Julius 1.2 Lite)のままでこの完成度だったのは正直意外で、「分析ツール」というより「頼めば形にしてくれる資料作成AI」という印象が強かった。作ったスライドはその場でPublishしてURL共有もできる。
料金はFree(無料)・Plus($16/月)・Pro($37/月)・Max($166/月)・Business($375/月)の5段階。無料プランでも一通りの機能を試せる。
4. Comp AI — SOC2やGDPR対応を「早さ」で解決するコンプライアンスAI
※公式サイトの情報のみ、未検証。
Comp AIは、SOC2・ISO27001・HIPAA・GDPRといった各種コンプライアンス認証の取得を、AIで効率化するサービスだ。取引先から「SOC2は取得済みですか」と聞かれて初めて対応に追われる、という場面は業種を問わずありそうだが、そこを「数ヶ月ではなく数時間で」と謳っている。
料金は公開されておらず、対応するフレームワークや会社規模、希望スケジュールなどを20分の商談で確認した上で個別に見積もる方式だった。自己申込のトライアル導線が無く、この記事のために商談を予約するのは見合わないと判断し、今回は試していない。興味があれば公式サイトから直接確認してほしい。
5. Appy.AI — Slackで頼めば、専門AIチームが動き出す
※試そうとしたが、日本からはサインアップできなかった。
Appy.AIは、Slack上のAI「Violet」に業務を頼むと、営業・マーケティング・オペレーションなど専門分野ごとのAIエージェントに仕事を振り分けてくれる、という少し変わった設計のツールだ。1人1AIではなく、1人が小さなAIチームを持つ感覚に近い。
実際にサインアップを試みたところ、「We are not available in your region(このリージョンでは利用できません)」と表示され、その場ではウェイトリスト登録しかできなかった。日本からのアクセスにはまだ対応していないようだ。料金はStarter(無料、$100分のクレジット付き)・AI Workforce($50/月、月2万クレジット)の2段階と案内されている。
まとめ
5つとも切り口は違うが、共通しているのは「専任の担当者を置くほどではないが、地味に時間を取られている業務」を肩代わりする発想だ。実際に触ったWeav・Juliusはどちらも一長一短があり、特にJuliusの完成度には驚いた一方、Weavは「自動学習」を鵜呑みにしないほうがよさそうだと分かった。
ちなみに、こういうツールを触るたびに「結局ChatGPTやClaudeと何が違うの?」と思う人もいるはずだ。正直に言うと、AIの賢さ自体にはほぼ差がない。専用ツールの価値は賢さではなく、WhatsAppやSlackへの接続、業務システムとの連携、自社データを常に参照させる仕組みといった「AIの周りの設計」にある。今回で言えば、Juliusは「指示するだけで形になる」という専用ツールらしい強みを見せてくれた一方、Weavは肝心の自動学習が機能しておらず、これならブログの記事をそのままChatGPTやClaudeに貼って質問したほうが早い、という逆転が起きていた。専用ツールだから優れていると鵜呑みにせず、中身まで見て判断したほうがよさそうだ。
営業もサポートも資料作りも一人でこなしている人にとっては、どれか1つでも刺さるものがあれば、それだけで週の何時間かは浮くはずだ。気になったツールがあれば、無料プランの範囲でまず触ってみてほしい。

